【処方解析】HIF-PH阻害薬ダーブロックに対して、薬剤師が電子カルテで確認する4つの項目【腎性貧血】

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2023/10/13ダーブロック錠の服用時期について、記載に誤りがありました。
「【コラム】ダーブロック錠を飲むタイミング」を追記し、内容を修正しました。
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この記事はこんな人におすすめ!

  • 腎性貧血治療に関心がある人
  • ダーブロックの適正使用や注意点を知りたい人
  • 電子カルテで処方解析を行う薬剤師

こんにちは、こさらんです!

「腎性貧血の治療には、ダーブロックという新しい薬剤があるんだけど、どうやって使うの?」
「電子カルテで処方解析をするときに、何をチェックすればいいの?」
「ダーブロックと他の薬剤との相互作用はないの?」


こんなふうに、ダーブロックに関する疑問や不安を抱えている薬剤師は多いのではないでしょうか。

私も、最初はダーブロックについてよく分からなかったので、色々と調べてみました。

そこで、今回は、ダーブロックを処方する際に、電子カルテで確認するべき4つの項目について解説します!

腎性貧血とは

腎性貧血は、腎臓で産生されるエリスロポエチンの不足によって赤血球の作られる量が減ることで起こります。

flowchart LR A{腎臓の<br/>機能低下} --> B[エリスロポエチンEPO<br/>の分泌減少] B --> C[赤芽球系前駆細胞<br/>の分化や増殖低下] C --> D[赤血球<br/>の産生低下] D --> E[酸素運搬能力<br/>低下] E --> F{貧血状態}

腎性貧血の治療には、エリスロポエチン(EPO)やダルベポエチンアルファなどのエリスロポエチン製剤(ESA)が用いられます。

flowchart LR A{腎臓の<br/>機能低下} --> B[エリスロポエチンEPO<br/>の分泌減少] B --> C[赤芽球系前駆細胞<br/>の分化や増殖低下] C --> D[赤血球<br/>の産生低下] D --> E[酸素運搬能力<br/>低下] E --> F{貧血状態} G(エリスロポエチン製剤ESA) -.-> B style G stroke:#f66,stroke-width:5px,stroke-dasharray:5

しかし、ESAだけでは効果が不十分な場合や副作用が出る場合もあります。

そこで、2020年8月26に新たに発売されたHIF-PH阻害薬のダーブロックが注目されています。
ダーブロックは、酸素感受性因子(HIF)の分解を抑制することで、EPOの産生を促進する薬剤です。

flowchart LR A{腎臓の<br/>機能低下} --> B[エリスロポエチンEPO<br/>の分泌減少] B --> C[省略] C --> F{貧血状態} G(エリスロポエチン製剤ESA) -.-> B style G stroke:#f66,stroke-width:5px,stroke-dasharray:5 H(HIF-PH阻害薬) -.-> J style H stroke:#f66,stroke-width:5px,stroke-dasharray:5 I(HIF)--EPO産生促進-->B J(HIF-PH) -.分解.->I

ダーブロックは、ESAと比べて以下のメリットがあります。

ダーブロックのメリット
  • 経口投与できる
  • 鉄代謝を改善する
  • 心血管イベントのリスクを低減する

しかし、ダーブロックにも注意すべき点があります。

この記事を読めば、ダーブロックの適正使用や注意点が分かるようになるはずです!

それでは、さっそく見ていきましょう!

患者情報

まず、ダーブロックを処方する前に、患者情報を確認しましょう。

ダーブロックは、以下の患者に対して適応があります 。

  • 成人
  • 慢性腎臓病
  • 透析非依存
  • ヘモグロビン濃度(Hb)が10g/dL未満

逆に、以下の患者に対しては禁忌があります 。

  • 妊婦・授乳婦
  • 重篤な肝障害
  • 重篤な心不全

また、以下の患者に対しては慎重投与が必要です 。

  • 高齢者
  • 低体重者
  • 喫煙者
  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 血栓症

これらの患者情報を確認して、ダーブロックが適切かどうか判断しましょう。

検査値

次に、ダーブロックを処方する前に、検査値を確認しましょう。

ダーブロックは、鉄代謝やEPO産生に影響を与えるため、以下の検査値をモニタリングする必要があります 。

ヘモグロビン濃度(Hb)

Hbは赤血球の量を表します。
投与中にはHbの上昇速度や上限値を注意しながら調整することが必要です。

Hbが10g/dL以上になった場合は、用量を減らすか中止する。

Hbが12g/dL以上になった場合は、中止する。

フェリチン(Fer)

Ferは鉄の貯蔵量を表します。

ダーブロック投与開始前に測定し、投与開始後は月1回測定する。

フェリチンが100ng/mL未満の場合は、鉄剤を併用する。

フェリチンが800ng/mL以上の場合は、鉄剤を中止する。

トランスフェリン飽和度(TSAT)

TSATはトランスフェリンの血清鉄との結合割合を表します。

ダーブロック投与開始前に測定し、投与開始後は月1回測定する。

TSATが20%未満の場合は、鉄剤を併用する。

TSATが50%以上の場合は、鉄剤を中止する。

血圧

ダーブロック投与開始前に測定し、投与開始後は定期的に測定する。

血圧が高くなった場合は、降圧薬を調整する。

これらの検査値を確認して、ダーブロックの効果や安全性を評価しましょう。

【コラム】鉄剤の投与や中止の基準

造血には鉄が必要であることから、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行う必要があります。

鉄剤の投与や中止の基準については、「2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」に記載がありました。

鉄の評価方法、鉄剤の投与・中止基準については、最新のガイドラインなど、最新の情報を参考にしてください。

  • ESA製剤も鉄剤も投与されておらず目標ヘモグロビン値が維持できない患者において、血清フェリチン値が50ng/mL未満 の場合、ESA投与に先行した鉄補充療法を提案する。
  • ESA投与下で目標ヘモグロビン濃度が維持できない患者において、血清フェリチン値が100ng/mL未満かつTSATが20% 未満の場合、鉄補充療法を推奨する。
  • ESA投与下で目標ヘモグロビン濃度が維持できない患者において、以下の両者を満たす場合には鉄補充療法を提案する。
    • 鉄利用率を低下させる病態が認められない場合
    • 血清フェリチン値が100ng/mL未満またはTSATが20%未満の場合
  • 血清フェリチン値が300ng/mL以上となる鉄補充療法は推奨しない。
2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン

つまり、ESA製剤を投与中に、

目標のヘモグロビン濃度が維持できない患者がいる場合、

  • Hbが6g/dL以上
  • フェリチンが100ng/mL以上かつTSATが20%以下

の患者に対して鉄剤が適応になります。

用法用量

次に、ダーブロックの用法用量を確認しましょう。

ダーブロックの用法用量は、通常成人では1日1回2mgから始めて、最大で8mgまで増量することができます。

ただし、体重が50kg未満の場合や高齢者の場合は、1日1回1mgから始めることが推奨されます。

また、ダーブロックは食後に服用することが必要です。 食後に服用することで、吸収率が高まります。

【コラム】ダーブロック錠を飲むタイミング

ダーブロック錠は、食事前、食事後に関わらず飲むことができます。

ダーブロック錠の販売元の協和キリン株式会社から出された「ダーブロック錠による腎性貧血の治療を受けられるみなさまへ」に、ダーブロック錠の飲むタイミングについて記載があります。

飲むタイミング

ダーブロック錠は、毎日同じ時間帯に飲むことが大切です。 主治医の指示の従って、毎日同じ時間帯に服用するようにしましょう。

なお、ダーブロック錠は、食事前、食事後にかかわらず飲むことが可能です。

また、血液透析を受けている患者さんでは、血液透析を行う日と行わない日にかかわらず、ダーブロック錠を飲むことが可能です。

「ダーブロック錠による腎性貧血の治療を受けられるみなさまへ」https://medical.kyowakirin.co.jp/site/infopdf/notice/drq_kanjyayou.pdf

また、添付文書にダーブロック錠の食事の影響についての記載がありました。

16.2 吸収

**16.2.1 食事の影響
健康成人に本剤4mgを慢性腎臓病の食事療法基準食の食後に経口投与した時、AUC0-∞及びCmaxは、空腹時投与に比べてそれぞれ9及び11%減少した4) 。[16.1.1 参照]

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3999049F1027_1_03/

ダーブロック錠の吸収は、
空腹時投与に比べて、食後投与は弱くなりますが、
薬効に影響は出ない範囲の差であると思います。

相互作用

最後に、ダーブロックと他の薬剤との相互作用を確認しましょう。

ダーブロックと相互作用が報告されている薬剤は以下の通りです 。

  • 強力なCYP3A4阻害剤
    • ケトコナゾールやイトラコナゾールなど
    • ダーブロックの血中濃度が上昇する可能性があるため、併用しないか、ダーブロックの用量を減らす。
  • 強力なCYP3A4誘導剤
    • リファンピシンやカルバマゼピンなど
    • ダーブロックの血中濃度が低下する可能性があるため、併用しないか、ダーブロックの用量を増やす。

これらの相互作用を確認して、ダーブロックと他の薬剤との併用に問題がないか判断しましょう。

まとめ

今回は、腎性貧血治療におけるダーブロックの適正使用と注意点について解説しました。

ダーブロックは、ESAと比べて多くのメリットがありますが、以下の4つの項目を電子カルテで確認する必要があります。

  • 患者情報
  • 検査値
  • 用法用量
  • 相互作用

これらの項目をチェックして、ダーブロックを安全かつ効果的に使用しましょう。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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